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省エネ等住宅とは|贈与税1,000万円枠の条件と、証明書を頼むタイミング

まちもちチャンネルのロゴと、雲の上に座るmachiとmochiのイラスト 家づくり・住まいのお金

こんちゃー!一級建築士のmachiです🎵

家づくりの打ち合わせで、こんな話が出ませんでしたか。

「親から資金援助を受けるなら、贈与税が非課税になる制度がありますよ」

これ自体は本当です。ただし非課税になる金額は、1,000万円の人と500万円の人がいます。その差を決めているのは、税金の知識ではありません。設計の中身と、工事の段取りです。

そして厄介なことに、いちばん大事な手続きは、工事が始まる前に終わっていないといけません。建ってから気づいても戻せない部分があります。

この記事では、500万円の差がどこで決まるのかを、制度ではなく現場の時間軸で整理します。

✅ この記事の結論
  • 非課税枠は1,000万円(質の高い住宅)か500万円。分かれ目は家の性能
  • 新築の省エネの基準は断熱等性能等級5以上「かつ」一次エネルギー消費量等級6以上
  • 性能は自己申告では通らない。5種類の証明書のどれかが要る
  • 設計住宅性能評価書は使えません。建設住宅性能評価書です
  • 認定系の書類は着工前に申請していないと取れない。地盤改良を着工に含む自治体あり
  • 贈与の翌年3月15日までに、注文住宅は「屋根」まで/建売・分譲は「引渡し」まで
  • 非課税でも申告は必須。しないと課税されます
  • 期限は2026年12月31日の贈与まで(2026年10月時点)

まず、いくらまで非課税になるのか

父母や祖父母など直系尊属から、住宅を建てる・買うためのお金をもらった場合、一定額まで贈与税がかかりません。

住宅の区分 非課税限度額
質の高い住宅 1,000万円
上記以外 500万円

差は500万円です。贈与税の税率を考えると、手元に残る金額で100万円以上変わることもあります。

対象になるのは、2024年1月1日から2026年12月31日までの間に受けた贈与です。

質問するmochiのイラスト
2026年12月31日って、もうすぐじゃない?延長されないの?
解説するmachiのイラスト
この制度は過去に何度も延長されてきたから、また延びる可能性はある。ただいまの時点では決まっていない。例年どおりなら、12月に公表される翌年度の税制改正大綱で分かる。だから「延びる前提で動く」のはおすすめしない。

「質の高い住宅」の中身は、3つのうちどれか1つ

ここを省エネだけだと思っている方が多いのですが、実は3つの道があります。どれか1つを満たせば1,000万円枠です。

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分野 新築で求められる水準
省エネ 断熱等性能等級5以上 かつ 一次エネルギー消費量等級6以上
耐震 耐震等級(倒壊等防止)2以上、または免震建築物
バリアフリー 高齢者等配慮対策等級3以上

省エネで届かない場合でも、耐震等級2以上なら1,000万円枠に入ります。長期優良住宅を取るなら耐震等級2以上が前提になるので、実際にはこちらで満たしている家も多いです。

⚠️ 「断熱か一次エネ、どちらか一方でよい」という説明に注意

ネット上に「外皮か一次エネルギーのどちらか一方を満たせばよい」と書いている解説があります。ですが国税庁の記載は「断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上」です。

「かつ」です。片方だけでは省エネの道では認められません。ここを取り違えると、証明書の申請段階ではじかれます。

2025年4月の義務化とは、水準が違います

ここが最大の勘違いポイントです。

2025年4月から、新築住宅は省エネ基準への適合が義務になりました。適合していないと着工できません。

では義務を満たしていれば1,000万円枠か、というと違います。義務化された省エネ基準は断熱等性能等級4の水準です。非課税枠に必要なのは等級5以上かつ一次エネ等級6以上、いわゆるZEH水準。1段上です。

驚くmochiのイラスト
じゃあ、法律どおりに建てただけだと500万円のままってこと?
解説するmachiのイラスト
省エネの道だけで見ればそうなる。「義務化されたから最高水準で建っているはず」と思い込むのがいちばん危ない。等級は契約前の仕様で決まるから、打ち合わせの段階で確認しておいてほしい。

等級の中身そのものについては、別の記事で詳しく書いています。地域区分で基準値が変わる話も、ここに書きました。

📘 等級の中身はこちら

同じ「等級5」でも、北海道と東京では求められるUA値が違います。地域区分は市町村単位です。

👉 断熱等級6は必要?地域で変わる基準と、カタログに出ない3つ

💡 経過措置があります

2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅(2024年6月30日までに建築されたものを除く)などは、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上で「質の高い住宅」とみなされます。この場合は証明書に加えて確認済証の写しまたは検査済証の写しも申告書に添付します。

性能は、自己申告では通りません

ここからが本題です。

「うちはZEH水準で建てました」と言っても、それだけでは1,000万円枠になりません。第三者が証明した書類を、贈与税の申告書に添付する必要があります。

使える書類は、次の5つのどれかです。

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書類 発行するのは誰か 性格
住宅性能証明書 登録住宅性能評価機関など 税制用に項目を絞ったもの。書類審査+現場検査
建設住宅性能評価書 登録住宅性能評価機関 施工中の検査を経て交付される
長期優良住宅の認定通知書 所管行政庁 別途、住宅用家屋証明書などが必要
低炭素建築物の認定通知書 所管行政庁 別途、住宅用家屋証明書などが必要
住宅省エネルギー性能証明書 登録住宅性能評価機関などのほか建築士も可 省エネ性能のみを証明する
⚠️ 「設計住宅性能評価書」は使えません

一覧にあるのは建設住宅性能評価書です。設計住宅性能評価書は入っていません。

この2つは別物です。設計住宅性能評価は図面の審査だけで、現場検査がありません。建設住宅性能評価は施工中の検査を経て交付されます。

住宅会社が「性能評価を取っています」と言うとき、設計だけのことがあります。手元の書類の表紙に「設計」と「建設」のどちらが書いてあるか、必ず確認してください。

建築士が出せる書類が1つだけあります

5つのうち住宅省エネルギー性能証明書だけは、審査機関を通さずに取得できる道があります。

この証明書は、登録住宅性能評価機関・指定確認検査機関・住宅瑕疵担保責任保険法人のほか、建築士法第23条の3第1項の登録を受けた建築士事務所に属する建築士が発行できます。

しかも国土交通省の資料には、対象住宅の設計・工事監理を行った建築士が証明してもよい、第三者の建築士を探す必要は必ずしもない、と書かれています。

質問するmochiのイラスト
じゃあ、設計してくれた人にそのまま頼めるってこと?
解説するmachiのイラスト
制度上はそうなっている。ただし発行するかどうかは、その事務所や会社の判断。対応していないところもあるから、契約前に「出してもらえますか」と聞いておくのがいちばん確実。後から頼むより、仕様を決める段階で話しておいたほうがいい。

いちばんの落とし穴は、着工のタイミングです

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

5つの書類は、いつでも取れるわけではありません。とくに認定系の2つは、工事が始まってからでは手遅れになります。

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書類 着工後に気づいた場合
長期優良住宅の認定通知書 不可。申請前に着工した計画は認定されません
低炭素建築物の認定通知書 不可。同じく着工後の申請は認定されません
建設住宅性能評価書 施工中の検査が前提。検査の時期を過ぎていると困難です
住宅性能証明書 可能性あり。施工写真などの施工記録の確認で対応される場合があります
住宅省エネルギー性能証明書 発行者に要確認
⚠️ 境目は「認定が下りたか」ではなく「申請したか」

長期優良住宅も低炭素建築物も、認定が下りるのを待ってから着工する必要はありません。申請さえ済んでいれば着工できる、という運用をしている自治体があります。

逆に言えば、申請前に着工してしまうとアウトです。ここを「認定待ち」と勘違いして工程を止めると、無駄に時間を失います。

⚠️ 地盤改良を「着工」に含める自治体があります

これは現場でいちばん事故が起きるところです。

地盤改良は基礎工事の前に行います。「まだ建物は始まっていない」という感覚で先に地盤改良をしてしまうと、自治体によってはその時点で「着工」扱いになり、認定申請の道が閉じます。

扱いは所管行政庁によって異なります。地盤改良の日程を決める前に、設計者を通じて確認してください。

贈与を受ける「年」は、工事の進み方で決める

もう1つ、時間の条件があります。

非課税の適用を受けるには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、そのお金の全額を充てて家を建てる(取得する)ことが必要です。

ここで重要なのは、「完成していること」は求められていないという点です。ただし注文住宅と建売で、基準がまったく違います。

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買い方 翌年3月15日までに必要な状態
注文住宅
(請負で新築)
屋根(骨組みを含む)があり、土地に定着した建造物と認められる状態以降。いわゆる上棟まで進んでいればよく、完成は不要
建売住宅
分譲マンション
引渡しを受けていること。売買契約が済んでいても、建物が屋根まで出来ていても、引渡し前なら認められません
驚くmochiのイラスト
えっ、注文住宅のほうがゆるいの?逆だと思ってた。
解説するmachiのイラスト
そう、ここは逆なんだ。注文住宅は上棟日、建売・分譲は引渡し日が分かれ目になる。だから「いつ贈与を受けるか」は、税理士じゃなくて工程表を見ないと決められない。

判断は、この2つだけで決まります

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あなたの状況 贈与を受けるべき年
注文住宅で、上棟が翌年3月15日までに来る 年内に受けてよい
注文住宅で、上棟がそれ以降になる 年内に受けると要件を満たせません
建売・分譲で、引渡しが翌年3月15日まで 年内に受けてよい
建売・分譲で、引渡しがそれ以降 年内に受けると要件を満たせません

つまり「年内に贈与を受けるべきか」という問いの答えは、上棟日か引渡し日を見れば機械的に決まります。迷う要素はありません。

問題は、下の2行に当てはまる人です。制度の期限が2026年12月31日なので、翌年に回すと制度そのものが使えなくなる可能性があります。この場合は、12月に公表される翌年度の税制改正大綱で延長されるかどうかを見るしかありません。

全体の流れを、1本の時間軸にすると

ここまでの条件を、家づくりの順番に並べ直します。

  • ① 仕様を決めるとき(契約前〜設計中)
    等級を決める

    断熱等級5以上かつ一次エネ等級6以上、または耐震等級2以上、またはバリアフリー等級3以上。ここを外すと、以降は何をしても1,000万円枠に届きません。

  • ② 着工前(地盤改良より前)
    証明書のルートを決めて、申請する

    長期優良住宅・低炭素建築物の認定を使うなら、この時点で申請が済んでいないと道が閉じます。住宅性能証明書や建設住宅性能評価書も、現場検査があるので着工前の手配が基本です。

  • ③ 施工中
    現場検査を受ける/施工記録を残す

    断熱材の施工状況は、壁を閉じたら二度と確認できません。写真を残しておくこと。着工後に証明書が必要になった場合、施工記録が唯一の手がかりになります。

  • ④ 贈与を受ける
    上棟日・引渡し日から逆算して年を決める

    受けた年の翌年3月15日までに、注文住宅は屋根まで、建売・分譲は引渡しまで。

  • ⑤ 翌年2月1日〜3月15日
    贈与税の申告をする

    証明書などを添付して提出します。非課税でも申告は必須です。

  • ⑥ 翌年12月31日まで
    その家に住む

    3月15日時点で住んでいなくても、遅滞なく住むことが確実と見込まれればよい。ただし翌年12月31日までに住んでいないと、原則として適用を受けられず修正申告になります。

①と②が工事が始まる前にあることに注目してください。贈与の話は④で出てくるのに、勝負は①と②でほぼ決まっています。

見落とされがちな条件

金額と性能以外にも条件があります。ここで落ちる人も実際にいます。

📌 もらう人(受贈者)の条件
  • 贈与者の直系卑属であること(子・孫など。配偶者の親からは対象外)
  • 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)
📌 家の条件
  • 登記上の床面積が40㎡以上240㎡以下(マンションは専有面積)
  • 床面積の2分の1以上を、もらった人自身の居住用にすること
  • もらった人が、その家屋を所有していること(共有持分でも可)
⚠️ 親族の工務店に頼むと使えません

配偶者や親族など、一定の特別の関係がある人から家屋を取得した場合、またはそのような人との請負契約で新築した場合は、適用できません。

家づくりでは「親の知り合い」ではなく「親戚が工務店をやっている」というケースが実際にあります。条件として有利に見えても、この制度は使えなくなります。どちらが得かは、見積もりと500万円を並べて判断してください。

まとめ

📝 この記事のまとめ
  • 非課税枠は1,000万円か500万円。差は500万円
  • 省エネの基準は断熱等級5以上「かつ」一次エネ等級6以上。片方だけでは不可
  • 耐震等級2以上、バリアフリー等級3以上でも1,000万円枠に入る
  • 2025年4月に義務化された水準は等級4。1段足りない
  • 証明書は5種類。設計住宅性能評価書は使えない
  • 住宅省エネルギー性能証明書は建築士が発行できる
  • 認定系は着工前の申請が必須。地盤改良を着工に含む自治体あり
  • 翌年3月15日までに、注文住宅は屋根/建売・分譲は引渡し
  • 申告は非課税でも必須(翌年2月1日〜3月15日)

この制度の説明は、たいてい税金の側から書かれています。ですが実際に500万円を分けているのは、仕様を決めた日と、地盤改良を始めた日です。

親から援助を受ける予定があるなら、契約前に住宅会社へ一言聞いてください。「贈与税の非課税で1,000万円枠を使いたいので、どの証明書で対応できますか」と。この質問に即答できる会社は、段取りができている会社です。

逆に、もう着工してしまっている場合は、施工写真が残っているかを確認してください。そこに望みが残っています。

※本記事は2026年10月時点の情報にもとづく一般的な解説であり、特定の取引や申告方法を推奨するものではありません。税制は改正される場合があり、適用の可否はご自身の契約内容・工程・所得状況によって異なります。実際のご判断と申告にあたっては、必ず国税庁の最新情報を確認のうえ、税理士または所轄の税務署にご相談ください。認定申請の取扱い(着工の範囲を含む)は所管行政庁によって異なるため、建設地の窓口にご確認ください。証明書を発行できるかどうかは、依頼先の事務所・機関の判断によります。

📖 この記事の主な出典

住宅省エネルギー性能証明書の発行者は、令和4年国土交通省告示第455号に定めるところにより、登録住宅性能評価機関等のほか、建築士法第23条の3第1項の登録を受けた建築士事務所に属する建築士が含まれます。地盤改良を着工に含めるかどうかなど、認定申請の運用は所管行政庁により異なります。


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