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【注文住宅】契約後に増えるのはこの4工種|別途工事とのちがいと、契約前にやる5選!

家づくり・住まいのお金

こんちゃー!一級建築士のmachiです🎵

家の見積は、契約したあとに増えます。事故ではなく、そういうものです。

設計も工事も、契約の時点ですべてが決まっているわけではありません。図面はこれから詰めますし、地面の中は掘るまで分かりません。だから増えます。

問題は、増えること自体ではありません。どこで、どれくらい増えるのかを知らないまま契約してしまうことです。先に分かっていれば、資金計画に最初から入れておけます。

私は建築業界に22年、現場監督を10年、設計を16年やってきました。この記事では、実際に金額が動く4つの工種と、2025年12月に施主の側に有利になった法律の使い方を書きます。

✅ この記事の結論
  • 「増えた」ものの多くは追加工事ではなく「別途工事」。最初から契約に入っていない
  • 見積書は合計欄の「下」を読む。別途工事の一覧はそこに小さく書いてある
  • 2025年12月12日から、施主が請求すれば内訳の入った見積書の交付は義務になった
  • 追加工事は書面で相互に交付するのが法律上の決まり。口約束は本来ない
  • 契約後に上がるのは水回り・インテリア・外構・地盤改良の4工種に集中する
  • 契約書で見るべきは金額ではなく「増えたときの決め方」の条項

「追加工事」と「別途工事」は、まったく別物です

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

引き渡し前に「話が違う」となる金額の大半は、実は追加工事ではありません。「別途工事」です。

 別途工事追加工事
意味そもそも契約に入っていない工事契約後に増やした工事
いつ決まる契約より前(見積書の時点)契約より後
気づく時期資金が足りなくなった終盤打ち合わせのつど
言い分業者「最初から入れていません」業者「ご要望で増やしました」
防ぎ方契約前に一覧を出させるそのつど書面にする

別途工事は、業者が隠しているわけではありません。見積書の合計欄の下や、最終ページに「別途工事」「本見積に含まれないもの」として、たいてい小さく書いてあります。読まれないだけです。

⚠️ 別途工事になりやすい代表的な項目
  • 屋外給排水工事(敷地内の水道・下水の配管)
  • 上下水道の本管引き込み・水道加入金
  • ガスの引き込み
  • 地盤調査・地盤改良(調査の結果が出るまで金額が決まらない)
  • 解体工事・残土処分
  • 外構工事(駐車場、フェンス、門まわり、植栽)
  • カーテン・カーテンレール
  • 照明器具(配線は入っていても器具は別、というケースが多い)
  • エアコン本体と設置
  • 造作家具・食器棚
  • 建築確認以外の申請費用(開発許可、道路占用、農地転用など)
  • 火災保険・登記費用・引っ越し費用

この一覧を見て「けっこうあるな」と思ったら、正しい感覚です。この合計だけで数百万円になります。そして、どれも家に住むために必要なものばかりで、削れるものがほとんどありません。

質問するmochiのイラスト
でも、そんなに大事なものを見積に入れないのはなんで?わざとじゃないの?
解説するmachiのイラスト
半分は事情があって、半分は競争のせいだね。外構みたいに施主の希望で金額が10倍変わるものは、確かに最初は入れにくい。ただ、他社より安く見せたいという理由で外しているケースもある。だから相見積もりは、金額より「どこまで入っているか」を並べて比べないと意味がない。

契約後に金額が上がるのは、この4つの工種です

別途工事の一覧は長いですが、実際に契約後、金額が動くところはだいたい決まっています。22年やってきて、繰り返し出てくるのはこの4つです。

⚠️ 契約後に金額が上がる可能性がある工種
  • ① 水回り設備の仕様変更
  • ② インテリア工事(照明・カーテン・エアコン)
  • ③ 外構工事
  • ④ 地盤改良工事

並べてみると、性質が2つに分かれます。①と②は施主が自分で動かせるもの、③と④は契約の時点でそもそも金額が決まっていないものです。

① 水回り設備の仕様変更

キッチン、浴室、洗面、トイレ。4つの中で唯一、施主が自分の意思で動かしている項目です。

上がる理由ははっきりしていて、ショールームに行くからです。標準仕様の実物と、ひとつ上のグレードの実物が並んでいます。並んでいれば、上を選びます。それ自体は悪いことではありません。問題は、いくら上がったのかをその場で把握していないことです。

効くのは、契約前に「標準仕様がどこまでか」をしっかり確認しておくこと。標準仕様書は普通もらえますが、受け取って終わりにせず、どこまでが標準で、どこからが追加になるのかを一つずつ確かめておく。ここが曖昧なまま進むと、あとで必ずもめます。

② インテリア工事(照明・カーテン・エアコン)

この3つは、見積書に入っていることもあります。問題は、入っているかどうかではありません。住むのに十分な金額が入っているかです。

よくあるのは、4LDKなのに、エアコン2台分くらいの金額しか入っていないというケースです。見積書には「エアコン工事」と項目があるので、入っていないわけではない。ただ、全部屋には足りません。

照明もカーテンも同じです。「照明器具一式」と書いてあるその金額が、何部屋分なのか。金額だけを見ても分かりません。

そして3つとも、無いと住めません。足りなければ、差額は必ず自分で払うことになります。

だから確認するのは「入っているか」ではなく、「何部屋分・何台分の金額なのか」です。ここを聞けば、たいてい実態が出てきます。1部屋ずつ足していくと、最後に合計を見て驚くことになります。

③ 外構工事

予算が尽きるのは、たいていここです。工程がいちばん最後だからです。

外構が最初の見積に入りにくいのには理由があって、施主の希望しだいで金額が何倍にも変わるからです。駐車場をコンクリートで打つのか砂利で済ませるのか。フェンスを回すのか回さないのか。これを契約前に決めきるのは、確かに難しい。

ただし、「難しいから入れていない」と「安く見せたいから外している」は、見積書の上では見分けがつきません。だから相見積もりは、金額ではなくどこまで入っているかを並べて比べる必要があります。

④ 地盤改良工事

4つの中で、唯一、誰にも読めない項目です。施主にも、業者にも、私にも分かりません。掘るまで決まらないからです。

地盤調査は契約後に行うのが一般的で、その結果しだいで必要な工法が変わり、金額が変わります。ここは業者を責めても仕方のない領域です。

できることは1つだけあります。「地盤改良が必要になった場合、どの工法で、いくらか」を契約前に聞いておくことです。工法ごとの単価は、ある程度読めます。「ゼロか、いくらになるか分からない」を「ゼロか、この範囲か」に変えておく。それだけで資金計画が立ちます。

驚くmochiのイラスト
4つのうち3つ、さっきの別途工事の一覧に入ってたやつだね。
解説するmachiのイラスト
そこがこの記事のいちばん大事なところ。「契約後に増えた」と感じる金額の大半は、追加工事じゃなくて別途工事なんだ。増えたんじゃなくて、最初から入っていなかった。だから防ぎ方は、契約前にしかない。
💡 番外:工種ではないけれど、増えるもの

2025年4月の建築基準法改正で、木造2階建ての建築確認は審査の省略ができなくなりました。必要な図面が増え、審査期間も法律上7日以内から35日以内に変わっています。

着工が1か月遅れれば、賃貸に住んでいる人はその分の家賃が増えます。見積書には出てきませんが、これも実質的な追加コストです。


なぜ、増える方にしか動かないのか

ここで、予算の立て方の話を少しだけ。住宅金融支援機構の2024年度フラット35利用者調査によると、注文住宅の建設費は全国平均3,932.1万円、中央値3,628.5万円です。

ここで見てほしいのは平均ではなく、標準偏差が1,764.6万円あることです。平均が3,932万円で、ばらつきが1,764万円。「相場」という言葉がほとんど意味を持たないくらい散らばっています。

驚くmochiのイラスト
平均3,900万円って聞くと、うちも3,900万円くらいかなって思っちゃうけど。
解説するmachiのイラスト
そこが落とし穴でね。この調査は「建設費」だけの数字なんだ。外構も、地盤改良も、カーテンも入っていない。それでこのばらつき。平均を予算の根拠にすると、まず外れる。

そのうえで、契約後に金額が動く仕組みはこうなっています。

💡 増える方にしか動かない理由
  • 契約の時点で図面が固まっていない。詳細な図面(実施設計)は契約後に描くのが普通です
  • 減額は施主が言い出さないと起きない。増額は打ち合わせのたびに自然に発生します
  • 敷地の中は掘るまで分からない。地盤も、埋設物も、着工してから確定する項目があります
  • 打ち合わせが進むほど、見えてくる。ショールームに行けば、たいてい上のグレードを選びます

だから予算は、平均値ではなく自分の敷地と自分の仕様で組むしかありません。そのために必要なのが、次に書く見積書を開かせる手続きです。


2025年12月、法律が施主の側に寄りました

ここからが、この記事の本題です。

改正建設業法が、2025年(令和7年)12月12日に完全施行されました。建設業界の担い手不足への対策として整備された改正で、報じられ方は業界向けでしたが、施主が使える条文がいくつも入っています。

使いどころ1|内訳の入った見積書は、請求すれば「交付しなければならない」

改正後の建設業法第20条は、こうなっています。

📜 建設業法 第20条(建設工事の見積り等)

第1項 建設業者は…工事の種別ごとの材料費、労務費及び…適正な施工を確保するために不可欠な経費…その他当該建設工事の施工のために必要な経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を記載した建設工事の見積書…を作成するよう努めなければならない

第4項 …建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでに、当該材料費等記載見積書を交付しなければならない

作成そのものは努力義務です。ただし施主が請求したら、契約が成立するまでに交付するのは義務です。「努めなければならない」と「しなければならない」は、法律上まったく重さが違います。

つまり、「その他工事 一式」で出てきた見積書は、内訳を出させることができます。しかも内訳には金額だけでなく、工程ごとの日数まで含まれます。工期の根拠まで書かせることができる、ということです。

うれしそうなmachiのイラスト
言い方は簡単で、「建設業法20条4項に基づいて、材料費等記載見積書をお願いします」でいい。角が立ちそうなら「内訳の入った見積書をいただけますか」でも通じるよ。まともな会社なら、これで態度は変わらない。変わったら、それ自体が情報。

使いどころ2|追加工事は「書面で相互に交付」が法律上の原則

建設業法第19条第2項は、こう書いてあります。

請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

第1項に掲げる事項には「工事内容」と「請負代金の額」が含まれます。つまり工事を追加して金額が変わるなら、書面にして双方が持ち合うのが法律上の決まりです。

現場では「じゃあそれ、追加でお願いします」「はい、あとで精算しますね」で流れがちです。その場で止めてください。止めるのが気まずいなら、こう言えばいいです。

💬 その場で言う一言

「あとでもめたくないので、金額と工期を紙にしてから進めてもらえますか」
これは業者を疑う言葉ではなく、お互いを守る手続きです。実際、あとで困るのは業者も同じです。

使いどころ3|契約書は金額ではなく「増えたときの決め方」を読む

建設業法第19条第1項第6号は、請負契約書に次の定めを書くことを求めています。

当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め

ポイントは最後の「算定方法」です。増えたときにどうやって金額を決めるのかを、契約書に書いておかなければならないという意味です。

契約書を渡されたら、金額欄より先にこの条項を探してください。「別途協議」としか書いていない契約書は、算定方法が定まっていません。そのときは「単価表を添付してください」と頼むのが実務的な落としどころです。

使いどころ4|見積りには、法律が10日以上かかると認めている

建設業法施行令第5条の9は、見積りに必要な期間をこう定めています。

工事1件の予定価格見積期間
500万円未満1日以上
500万円以上5,000万円未満10日以上
5,000万円以上15日以上

これは正確には注文者(施主)の側の義務で、「業者に見積りをさせるなら、それだけの日数を与えなさい」という規定です。消費者を守る条文ではありません。

ただし、読み替えると意味があります。法律が10日以上かかると認めているのが、まともな見積りです。「今日中にお返事いただければ」と言われて出てくる金額は、内訳が詰まっていないと考えて差し支えありません。

📌 ひとつだけ注意点

第20条の見積りの規定は「建設業者」=建設業の許可を受けた業者が対象です(建設業法第2条第3項)。

そして延べ面積150㎡(約45坪)未満の木造住宅は、許可がなくても請け負えます(建設業法施行令第1条の2)。小さめの家を小規模な工務店に頼む場合、相手が許可業者かどうかを先に確認してください。なお第19条の書面のルールは、許可の有無を問わず契約の当事者に適用されます。


契約前にやる5つのこと

✅ この順番でやれば、たいてい防げます
  • 1. 見積書の「合計欄の下」を読む。別途工事の一覧はそこにあります。なければ「別途工事の一覧を出してください」と頼む
  • 2. 内訳の入った見積書を請求する。建設業法20条4項。「一式」を開かせる
  • 3. 標準仕様の範囲をしっかり確認する。どこからが追加になるのかの線引き
  • 4. 契約書の第19条1項6号にあたる条項を読む。増えたときの算定方法が書いてあるか
  • 5. 別途工事分を、最初から資金計画に入れる。ここを見ておけば、そもそも慌てません
質問するmochiのイラスト
全部やるの、けっこう大変そう…。どれかひとつだけなら?
解説するmachiのイラスト
ひとつなら1番。合計欄の下を読むだけ。5分で終わるし、金額のインパクトがいちばん大きい。契約後に「増えた」と感じる金額の大半は、そこに最初から書いてある。

まとめ

📝 この記事のまとめ
  • 見積は契約後に増える。それはそういうもので、差は増える方にしか動かない
  • 増えた金額の多くは追加工事ではなく「最初から入っていない」別途工事
  • 2025年12月12日から、請求すれば内訳見積書の交付は義務(建設業法20条4項)
  • 追加工事は書面で相互に交付するのが法律上の決まり(同19条2項)
  • 契約書で読むのは金額ではなく「増えたときの算定方法」(同19条1項6号)
  • 上がるのは水回り設備・インテリア工事・外構工事・地盤改良工事の4つ
  • まずやるのは見積書の合計欄の下を読むこと

追加工事は、悪いものではありません。住んでから「やっぱりつけておけばよかった」と思うより、建てている最中に足すほうが安く済みます。

困るのは、増えること自体ではなく、どこで増えるのかを知らないまま契約してしまうことです。ここだけ先に潰しておけば、家づくりの終盤はずいぶん静かになります。

※本記事は2026年8月時点の法令にもとづく一般的な解説です。個別の契約内容や、どの工事が契約に含まれるかは、契約書と見積書の記載によります。実際の判断は、契約する建設業者、または住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)などの相談窓口にご確認ください。

📖 この記事の主な出典

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