こんちゃー!まちもちチャンネルのmachiです🎵
これまでマイホームの買いどきや間取りの後悔について書いてきましたが、資産形成ブログとして、どうしても一度きちんと書いておきたいテーマがあります。
それが「持ち家って、結局のところ資産なの?」という話です。
家は「増える資産」ではなく「減る資産」です。ただし、減り方は条件によってまったく違います。同じ5,000万円を出しても、それを土地と建物にどう配分したかだけで、10年後の売却額に1,200万円の差が生まれます。これは積立投資10年分の元本に匹敵する金額です。建物にかけたお金は暮らしの快適さに変わって減っていき、土地にかけたお金は残る——ここが出発点になります。
大前提:家の値段は「土地」と「建物」に分かれている
ここを分けて考えないと、何を話しても噛み合いません。日本の不動産では、土地と建物で価値の減り方がまったく違うからです。
建物には税法上の法定耐用年数が決められています。
| 構造 | 法定耐用年数(住宅用) |
|---|---|
| 木造 | 22年 |
| 軽量鉄骨造(骨格材3mm以下) | 19年 |
| 重量鉄骨造(骨格材4mm超) | 34年 |
| 鉄筋コンクリート造(RC) | 47年 |
日本の戸建ての大半は木造です。つまり税務上は22年で建物の価値がゼロとして扱われます。そして中古住宅の市場も、この考え方を引きずっています。築20年を超えた木造戸建ては、建物にほとんど値段が付かず、実質「土地代」で取引されることが珍しくありません。
ここから、資産価値が落ちにくい条件を5つに整理していきます。前半3つが土地の話、後半2つが建物の話です。
条件①:立地——ここで7割が決まる
身も蓋もない話ですが、資産価値のほとんどは立地で決まります。建物はどんなに頑張っても減っていきますが、土地は減りません。むしろ需要があれば上がります。
- 駅からの距離:徒歩10分(約800m)あたりが一つの分岐点。ここを超えると買い手の母数がはっきり減ります
- 生活利便施設:スーパー・小学校・病院。特に小学校までの距離と通学路の安全性は、子育て層の購入判断を大きく左右します
- ハザードマップ:浸水想定区域・土砂災害警戒区域。2020年8月から不動産取引の重要事項説明で水害リスクの説明が義務化されました。買い手は必ず知ることになります
- 用途地域:隣に何が建ち得るかが決まります。工業系の用途地域だと、将来の住環境が読めません
- 将来の人口動態:その市区町村の人口推計。買った瞬間ではなく、売るときに需要があるかで考えます
特に最後の一つは見落とされがちです。今どれだけ便利でも、30年後にその街から人が減っていれば、買い手はいません。自治体が公表している人口ビジョンや将来推計は、誰でも無料で見られます。
条件②:土地の「形」と「道路」
同じ広さ・同じエリアの土地でも、形と道路の付き方で価格は大きく変わります。ここは建築士として、いちばん「もったいない」と感じる部分です。
建築基準法では、建物を建てる敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないと定められています(接道義務)。これを満たさない土地は、今建っている家を壊すと新しい家が建てられません。いわゆる「再建築不可」です。
- 再建築不可:接道義務を満たしていない。ローンが付きにくく、出口が極端に狭くなります
- セットバックが必要:前面道路の幅が4m未満の場合、敷地の一部を道路として提供する必要があり、使える面積が減ります
- 旗竿地・極端な変形地:同条件の整形地より安く評価されます。日当たりや駐車のしやすさにも直結します
- 高低差が大きい:擁壁が必要になり、造成費が数百万円単位で乗ります。既存の擁壁が古い場合、やり直し費用が買い手の値引き材料になります
- 狭すぎる土地:建てられる家の大きさが限られ、買い手の層が狭くなります
逆に言えば、整形地で、4m以上の道路にきちんと接していて、高低差が少ない——この3つが揃っているだけで、土地としてはかなり優秀です。派手さはありませんが、売るときに困りません。
条件③:建物の性能——2025年に基準が変わりました
ここからは建物の話です。「建物は減っていく」と書きましたが、減るスピードには差があります。そして今、その差が広がる方向に制度が動いています。
2025年4月から、原則としてすべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務化されました。それ以前は努力義務にとどまっていたので、これは大きな転換点です。
| 指標 | 見ておきたい水準 |
|---|---|
| 断熱等性能等級 | 等級4が現在の最低ライン。等級5(ZEH水準)以上が望ましい。2022年に等級6・7が新設されました |
| 耐震等級 | 等級1が建築基準法レベル。等級3は消防署や警察署と同等の水準です |
| 建築時期(木造) | 1981年6月以降=新耐震基準。さらに2000年6月以降=いわゆる2000年基準で、木造の規定が強化されています |
ここで大事なのは、基準は上がり続けるということです。今「普通」の性能で建てた家は、20年後の中古市場では「型落ち」として見られます。逆に、今の時点で一段上の性能にしておけば、その差はずっと効き続けます。
断熱性能を上げると、住んでいる間の光熱費が毎月下がります。そのうえで、売るときには性能表示という客観的な材料になる。住宅設備の豪華さと違って、性能は数字で示せるぶん、買い手に伝わりやすいんです。同じお金をかけるなら、キッチンのグレードより先に断熱を上げてください。
条件④:メンテナンスの「記録」が残っているか
これは意外と知られていませんが、手入れをしたこと自体より、手入れした記録が残っていることに価値があります。
外壁や屋根のメンテナンス費用の記事でも書きましたが、家は定期的な手入れが必要です。ただ、買い手からすると「きれいに見える家」と「きちんと手入れされた家」は区別がつきません。だから記録が要るんです。
- 確認済証・検査済証:これが無いと、増改築やローンの審査で不利になることがあります。絶対に紛失しないでください
- 設計図書一式:間取り図だけでなく、構造図・設備図も。リフォーム時に図面が無いと調査費が余分にかかります
- 点検・修繕の記録:いつ、どこを、いくらで、どの業者が。写真があればなお良いです
- 保証書:外壁塗装・防水・シロアリ防除など。保証が残っていれば、そのまま買い手のメリットになります
- 住宅性能評価書・長期優良住宅の認定通知:取得しているなら、これが最強の証明書です
条件⑤:「誰にでも売れる」間取りかどうか
間取りの記事では「わが家が譲れない3つを決めよう」と書きました。それは今も本心です。ただ資産価値という一点だけで見るなら、話は逆になります。
売却時に評価されるのは、次の買い手が「そのまま使える」と思える間取りです。奇抜な間取り、極端に趣味的な設備、特殊な用途の部屋——これらは買い手を選びます。買い手が少なくなれば、価格は下がります。
- 個室が極端に少ない、または多すぎる間取り
- 1階に水回りが無い、生活が2階以上で完結する構成
- 維持費が読めない特殊設備(大型の造作水槽、屋内プール、専用シアタールームなど)
- 採光や通風が確保しづらい間取り
ここは正直、住み心地と資産価値がぶつかる場所です。この記事の最後で、そのバランスについて書きます。
資産形成の視点で見ると、この差はどれくらい効くのか
ここまでの話を、資産形成ブログらしく数字にしてみます。
ポイントは、予算の総額ではなく「土地と建物への配分」です。同じ5,000万円を用意した2つの家庭が、配分だけを変えて家を買い、10年後に売却したとします。
| Aさん | Bさん | |
|---|---|---|
| 購入総額 | 5,000万円 | 5,000万円 |
| うち土地 | 3,500万円 駅徒歩8分・整形地 | 1,500万円 郊外・変形地 |
| うち建物 | 1,500万円 延床は控えめ。設備は標準だが 断熱等級5・耐震等級3 | 3,500万円 延床が広く設備も豪華。 性能は最低基準どおり |
| 10年後の土地 | 3,400万円 需要が続きほぼ横ばい | 1,200万円 人口減で下落 |
| 10年後の建物 | 750万円 10年で約半分に | 1,750万円 10年で約半分に |
| 売却額 | 4,150万円 | 2,950万円 |
差は1,200万円。これを積立投資で作ろうとすると、月10万円を10年間、休まず積み立て続けた元本とほぼ同じです。
注目してほしいのは、建物の減り方は両者とも「10年で半分」と同じ条件で計算していることです。特別に不利な仮定は置いていません。それでもこれだけ差がつくのは、減っていく側(建物)に3,500万円を置いたか、減らない側(土地)に3,500万円を置いたか——ただそれだけの違いです。
しかも実際には、Aさんは断熱・耐震の性能表示と点検記録という建物側の評価が上振れする材料も持っています。現実の差はもっと開きやすい、と考えてください。
資産価値が高い家は、売らなくても効きます。いざというときに売れる・貸せる家を持っているというのは、それ自体が家計の安全装置です。転勤、介護、収入減——人生で何が起きても「最悪、この家は換金できる」と思えることの安心感は、数字以上に大きいですよ。
最後に正直なことを書きます
ここまで資産価値の話をしてきましたが、資産価値を最優先にして家を選ぶと、たいてい住みにくい家になります。
駅から近い土地は、狭くて高くて、隣家との距離も近い。万人受けする間取りは、裏を返せばわが家に最適化されていない間取りです。売ることばかり考えた家は、住むための家ではなくなります。
machiの結論はこうです。
家選びの判断は8割を「自分たちが幸せに暮らせるか」で決めていい。ただし残りの2割は「売るとき・貸すときにどうか」を必ず入れる。この2割があるかないかで、10年後・20年後の選択肢の広さがまったく変わります。
そして幸いなことに、この記事で挙げた条件の多くは、住み心地とも両立します。ハザードマップの安全な土地、整形地、断熱・耐震性能、きちんとした記録——どれも「売るため」だけでなく、そこで暮らす自分たちのためのものです。
資産価値のために我慢するのではなく、いい家を選んだ結果として資産価値も残る。順番はこちらです。
まとめ
- 家は「増える資産」ではなく「減る資産」。目指すのは増やすことではなく減り方を小さくすること
- 木造の法定耐用年数は22年。税務上の数字であって寿命ではないが、中古市場もこの慣行で動いている。だから土地で買うのが基本
- ①立地で7割が決まる。駅距離・生活利便・ハザードマップ・用途地域・将来の人口動態
- ②土地は形と道路。再建築不可・セットバック・旗竿地・高低差は資産価値を大きく削る。「妙に安い」土地には理由がある
- ③建物性能は2025年4月から省エネ基準が義務化。基準は上がり続けるので、今の「普通」は20年後の「型落ち」になる
- ④検査済証・設計図書・点検記録・保証書は捨てない。手入れしたことより記録が残っていることに価値がある
- ⑤売却時に効くのは次の買い手がそのまま使える間取り。奇抜さは買い手を選ぶ
- 同じ総額5,000万円でも、土地と建物への配分だけで10年後の売却額に1,200万円の差が出る。これは月10万円を10年積み立てた元本に匹敵する
- 建物にかけたお金は消え、土地にかけたお金は残る。広い家・豪華な設備を選ぶこと自体は悪くないが、その満足度にいくら払っているかを自覚して選ぶ
- ただし8割は住み心地、2割は出口。資産価値のために我慢するのではなく、いい家を選んだ結果として価値が残るのが正しい順番
※本記事は一級建築士であるmachiの実務経験に基づく一般的な考え方をまとめたものです。不動産の評価額は立地・市況・個別事情によって大きく異なり、記事内の金額はあくまで考え方を示すための例です。法令や制度は変更される場合がありますので、実際のご判断にあたっては最新情報と、不動産・税務の専門家へのご確認をお願いします。
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それではまた!machiでした🎵


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