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【土地探し】安く見えて高くつく土地の見分け方|建築士が見る5つ

家づくり・住まいのお金

こんちゃー!一級建築士のmachiです🎵

土地を探していると、どうしても坪単価と広さで比べてしまいます。同じエリアで同じ広さなら、安いほうがいい。当たり前です。

ところが実務でよく見るのは、安かった土地のほうが、建物まで含めた総額では高くついたという結末です。土地の値段には出てこない費用が、あとから出てくるからです。

私は一級建築士ですが、宅地建物取引士も持っています。設計する側と、土地を扱う側の両方から見てきました。この記事では、契約する前に確認できることを書きます。

✅ この記事の結論
  • 不動産会社は「建てられます」とは言うが、「建てるといくら余計にかかるか」は言わない
  • 土地の値段に出てこない費用は、大きく5つ(接道・地盤・高低差・法規制・インフラ)
  • いずれも契約前に手がかりをつかめます
  • とくに前面道路は、工事費・建てられる大きさ・容積率の3つに同時に効きます

なぜ土地の値段だけでは判断できないのか

理由はシンプルで、土地の価格は「その土地の相場」で決まっていて、「そこに家を建てるコスト」は含まれていないからです。

不動産会社の仕事は土地を売ることなので、建築の話は基本的に守備範囲の外です。悪意があるわけではなく、聞かれなければ答えようがないという構造です。

質問するmochiのイラスト
でも「建築条件なし」って書いてあれば、家は自由に建てられるんだよね?
解説するmachiのイラスト
それは「どの会社に頼んでもいい」という意味であって、「どんな家でも建つ」という意味じゃないんだ。ここを勘違いしたまま契約すると、あとで苦しくなる。

① 接道と前面道路:ここが一番効きます

まず法律の話を短く。建築基準法では、敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないと定められています(第43条第1項)。これを接道義務といいます。

問題は、幅4m未満の道路が現実にはたくさんあることです。この場合「2項道路」として扱われ、次のことが起きます。

⚠️ セットバックで敷地が減る

前面道路の中心線から2m以内の部分は道路とみなされ、建築できません。つまり自分の土地なのに、その分だけ後ろに下がって建てることになります。

さらに重要なのは、この部分は敷地面積に算入できないということです。建蔽率も容積率もこの面積から計算されるので、登記簿の面積より小さい土地として扱われます。

30坪の土地でも、セットバックで3坪削られれば27坪の土地として計算されます。建てられる家が、そのぶん小さくなります。

もうひとつ、工事費に効きます

ここは設計者しか言わない部分です。前面道路が狭いと、工事費が上がります。

💡 道路が狭いと何が起きるか
  • 生コン車が入らない:ポンプ車を別に手配するか、小型車で回数を増やす
  • レッカーが立てられない:上棟の効率が落ちる。人手で組む場面が増える
  • 資材置き場がない:搬入回数が増え、手運びの手間がかかる
  • ガードマンが必要:交通量のある狭い道では、日数分の人件費が乗る

金額は現場の条件で大きく変わるので一概には言えませんが、数十万円単位で変わることは珍しくありません。そして見積書では「仮設工事費」や「運搬費」に紛れるので、土地のせいだと気づきにくい部分です。

② 地盤:買う前に「手がかり」はつかめます

正直に書きます。地盤の本当のところは、調査しないと分かりません。そして地盤調査は、ふつう土地を買ったあと、設計の段階で行います。

戸建てでよく使われるのはスクリューウエイト貫入試験(SWS試験)です。以前は「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれていましたが、2020年のJIS改正で名称が変わりました。

ただし、買う前でも手がかりはあります。

手がかり見方
旧地名沼・田・川・谷・窪・池などの字が入る地名は、もとが低湿地の可能性
昔の地形国土地理院の地図で、造成前の地形や土地条件を確認できる
ハザードマップ浸水想定区域は、地盤が緩いことが多い
周囲の様子近所のブロック塀の傾き、擁壁のひび、道路の波打ち
隣の建物基礎に大きなひび、玄関まわりの沈下がないか
解説するmachiのイラスト
いちばん効くのは「周囲を歩く」こと。塀が傾いていたり、道路が波打っていたら、その一帯は疑ったほうがいい。地図より現地のほうが正直だよ。

地盤改良が必要になったときの費用は、工法と深さで大きく変わります。実務での感覚としては、数十万円で済むこともあれば、200万円を超えることもあります。「かかるかどうか分からない費用」として、予算に幅を持たせておくのが現実的です。

③ 高低差と擁壁:金額が読みにくい代表格

道路より高い土地、低い土地、隣地との段差。高低差があると、造成費がかかります。

それ以上に注意したいのが既存の擁壁です。すでに擁壁があると「そのまま使える」と思いがちですが、現行の基準に適合していない古い擁壁は、造り直しが必要になることがあります。

⚠️ 擁壁のやり替えは数百万円規模

古い間知石積みや、届出のない擁壁は、建築確認の段階で問題になることがあります。やり替えとなれば、規模によっては数百万円です。

確認したいのは擁壁の検査済証があるかどうか。売主か不動産会社に聞けば分かります。「ない」と言われたら、契約前に建築士に見てもらってください。

④ 法規制:広いのに、思った家が建たない

土地の広さと、建てられる家の大きさは別の話です。効いてくる規制を挙げます。

規制効き方
建蔽率敷地に対して、建物が地面を覆える割合の上限
容積率敷地に対する延床面積の上限
前面道路による容積率制限前面道路が12m未満だと、指定容積率まで使えないことがある
道路斜線・北側斜線建物の高さと形が削られる。2階の天井や屋根形状に影響
高度地区・用途地域自治体ごとの上乗せ規制

見落とされやすいのが前面道路による容積率制限です。「容積率200%の土地」と書いてあっても、前面道路が狭ければ200%は使えません。道路の幅から計算した数値と、指定容積率の小さいほうが適用されます。

驚くmochiのイラスト
えっ、広告に書いてある容積率がそのまま使えるわけじゃないの!?
解説するmachiのイラスト
広告に載っているのはその土地に指定された数字で、実際に使える上限とは別なんだ。ここは間取りの自由度に直結するから、必ず確認してほしい。

⑤ インフラの引き込み:前面道路に本管があるか

上下水道は、前面道路の下を通る本管から敷地内に引き込みます。ここで2つ確認することがあります。

💡 確認する2点
  • 本管が前面道路に来ているか:来ていなければ、離れた場所から延長する工事が必要。距離次第で数十万〜
  • 既存の引き込み管の口径:古い土地だと13mmのことがある。同時に複数の水栓を使うと水圧が落ちるため、20mmへの変更が必要になる場合がある

古家付きの土地では「引き込み済み」と言われることがありますが、口径と位置まで確認してください。使えない位置にあれば、結局やり直しになります。

ガスも同様です。都市ガスの本管が来ていなければプロパンになり、ランニングコストが変わります。

現地で、自分でできる確認

専門家でなくてもできることがあります。気になる土地があったら、契約前に一度は自分の足で行ってみてください。

📌 現地で見るチェックリスト
  • 前面道路の幅を測る:メジャーで側溝の内側から内側まで。4mを切るならセットバックの可能性
  • 境界標を探す:角に金属プレートや石の杭があるか。無ければ測量が必要になることも
  • マンホールと止水栓の位置:前面道路と敷地内の位置を写真に撮っておく
  • 周囲の塀と擁壁:傾き、ひび、はらみが無いか
  • 雨の日に行く:水たまりの残り方で、排水と地盤の傾向が見えます
  • 夕方にも行く:日当たりと、周辺の生活音・交通量は時間で変わります
笑顔のmachiのイラスト
雨の日の現地確認は、本当におすすめ。晴れた日には見えないものが見える。水がどこに集まるかは、住んでからずっと付き合う話だからね。

不動産会社に聞くべき5つの質問

そのまま聞けるように、質問の形にしました。答えられる担当者なら、その土地のことをきちんと調べています。

📝 契約前に聞く5つ
  • 「前面道路は建築基準法上の何号道路で、幅員は何mですか」
    2項道路なら、次の質問へ
  • 「セットバックは必要ですか。何㎡減りますか」
    建蔽率・容積率の計算に直結します
  • 「上下水道の本管は前面道路に来ていますか。引き込みの口径は」
    古家付きなら位置も
  • 「地盤調査のデータはありますか。近隣のものでも構いません」
    造成地なら、造成時の記録が残っていることがあります
  • 「擁壁の検査済証はありますか」
    高低差がある土地では必ず

これらは本来、重要事項説明で触れられる範囲のことです。契約直前ではなく、申し込みの前に聞いてください。

まとめ

📝 この記事のまとめ
  • 土地の価格に「そこに家を建てるコスト」は含まれていない
  • 接道:幅4m未満ならセットバック。敷地面積が減り、建てられる家も小さくなる
  • 接道:道路が狭いと工事費が上がる。見積書では仮設・運搬費に紛れる
  • 地盤:調査は買った後だが、旧地名・地形・周囲の塀で手がかりはつかめる
  • 擁壁:既存でも安心できない。検査済証の有無を確認
  • 法規制:前面道路が狭いと、広告の容積率は使い切れない
  • インフラ:本管の位置と引き込み口径を確認

土地は、家づくりでいちばんやり直しがきかない買い物です。建物は打ち合わせで直せますが、土地は買ったら変えられません。

「安いには理由がある」とまでは言いません。理由が分かったうえで安いなら、それは良い買い物です。分からないまま買うことだけ、避けてください。

※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な解説です。建築基準法および関連する制限は、自治体の条例による上乗せ規制があります。個別の土地について建築できる内容は、必ず設計者・施工会社および自治体の建築指導課にご確認ください。費用に関する記述は、公的な統計が存在しないため、筆者の実務経験にもとづく目安として記載しています。実際の金額は現場の条件によって大きく変わります。

📖 この記事の主な出典

接道義務は建築基準法第43条第1項、2項道路は同法第42条第2項によります。地盤調査の名称は、2020年のJIS A 1221改正により「スウェーデン式サウンディング試験」から「スクリューウエイト貫入試験」へ変更されました(略称SWSは変更なし)。


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