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こんちゃー!一級建築士のmachiです🎵
家づくりのお金シリーズ、今回は火災保険です。
住宅ローンを組むとほぼ必ず加入することになるのに、見積もりを渡された瞬間に「はい、これでお願いします」と流してしまう——そんな扱いをされがちな費目です。実際、当ブログでも建てるときにかかる費用の全項目や総資金計画表ツールで「諸費用のひとつ」として名前を出してきただけで、正面から扱ったことがありませんでした。
でもこの数年、火災保険は値上がりが続いていて、しかも仕組みが細かく変わっています。一級建築士の立場から言うと、建物の造り方しだいで保険料が大きく変わるという、あまり知られていない話もあります。今回はそこを含めて整理します。
- 火災保険が実際に何を補償しているのか(火事だけではない)
- 保険料のベースがこの5年ほどで約1.39倍になった背景と、これからの見通し
- 建て方しだいで保険料が変わる——構造級別という、建築士目線でいちばん伝えたい話
- 2024年10月から始まった水災5区分の意味
- 「保険を使えば無料で修理できます」という勧誘の危うさ
火災保険は「火事の保険」ではない
まず補償の範囲から。火災保険という名前ですが、実際にカバーするのは以下のような幅広い災害・事故です。商品によって、外せる補償・外せない補償があります。
| 補償 | どんなとき | 外せるか |
|---|---|---|
| 火災・落雷・破裂爆発 | 失火、もらい火、落雷で家電が壊れた など | 基本セット(外せない) |
| 風災・雹災・雪災 | 台風で屋根材が飛んだ、雹で天窓が割れた、雪の重みで雨樋が壊れた | 商品により選択可 |
| 水災 | 洪水・高潮・土砂崩れによる床上浸水など | 選択可(ここが2024年に大きく変わった) |
| 水濡れ・盗難・騒擾 | 給排水設備の事故で階下が水浸し、空き巣による破損 | 選択可 |
| 破損・汚損 | 子どもが壁に穴、家具を倒してドアを破損 | 選択可(保険料への影響が大きい) |
とくに戸建てで効いてくるのが風災です。当ブログの屋根のメンテナンス費用の記事でも触れましたが、台風で棟板金が飛ぶ、雨樋が外れる、といった被害はかなりの頻度で起きます。これは修繕費として自腹で払う前に、まず保険証券を確認すべき領域です。
保険料はなぜ上がり続けているのか
「前より高くなった気がする」——気のせいではありません。火災保険料のベースになる参考純率(損害保険料率算出機構が算出する、保険料の目安)は、この数年で連続して引き上げられています。
| 参考純率の改定(届出) | 内容 |
|---|---|
| 2018年5月 | 全国平均 +5.5% |
| 2019年10月 | 全国平均 +4.9% |
| 2021年5月 | 全国平均 +10.9%。あわせて、参考純率を適用できる期間が最長10年から5年に短縮(各社の商品には2022年10月ごろ反映) |
| 2023年6月 | 全国平均 +13.0%。あわせて水災料率を5区分に細分化(各社の商品には2024年10月ごろ反映) |
この4回を掛け合わせると、参考純率は約1.39倍。実際に各社の保険料へ反映されたのは、おおむね2019年から2024年10月にかけてです。ここ5年ほどで4割近く上がった計算になります。しかもこれは全国平均で、都道府県・構造・築年数によって改定率はかなり違います。
背景にあるのは、台風・豪雨などの自然災害による保険金支払いの増加と、建築費・修繕費そのものの高騰です。とくに後者は建築の現場にいると実感があります。同じ被害でも、直すのにかかる金額が以前より上がっている。保険金の支払いが増えれば、保険料に返ってくるのは自然な流れです。
業界内では2026年10月にさらなる改定があると見込む声がありますが、本記事の執筆時点(2026年8月)で、損害保険料率算出機構が公表している火災保険参考純率の改定は2023年6月の届出が最新で、その後の新しい届出は確認できません。値上げの噂を見かけたときは、まずこのページで届出の有無を確かめてください。
建て方で保険料が変わる——構造級別の話
ここからが、一級建築士としていちばん伝えたいところです。
火災保険料を決める要素は主に4つあります。建物の構造・所在地・建物の評価額・補償内容。このうち、多くの人が見落としていて、しかも設計段階なら動かせるのが「構造」です。
住宅の火災保険では、建物を構造級別という区分に分けます。戸建てなら大きく2つです。
| 構造級別 | 該当する建物 | 保険料 |
|---|---|---|
| T構造(耐火) | コンクリート造、鉄骨造のほか、木造でも耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建物に該当するもの | 安い |
| H構造(非耐火) | 上記に当てはまらない一般的な木造住宅 | 高い |
(分譲マンションのような耐火構造の共同住宅は、さらに保険料が安いM構造という別区分になります。ここでは戸建ての話に絞ります。)
ポイントは、木造だから自動的にH構造、ではないということです。木造でも、一定の防火性能を満たす仕様にすればT構造として扱われ、保険料が下がります。
- 「この仕様は省令準耐火に該当しますか?」——該当すればT構造で保険料が下がる
- オプション対応の場合、追加費用と、保険料の差額×住む年数を比べる。長く住むほど回収しやすい
- 省令準耐火は保険料だけでなく実際の防火性能も上がる。お金だけの話ではない
「で、結局いくらなの?」とよく聞かれるのですが、火災保険は相場を一律に言えない商品です。所在地(あとで出てくる水災の等地)・構造級別・築年数・建物の評価額・付ける補償の組み合わせで、同じ広さの家でも金額がまるで変わります。値上げ幅ですら、2023年の改定では同じ東京都・同じ木造(H構造)・築10年以上でも、▲1.3%から+19.0%まで開きました。ネットで見かける「平均◯万円」を自分の家に当てはめても、あまり意味がありません。自分の条件で複数社の見積もりを取って並べる——地味ですが、これが唯一の方法です。
2024年10月から始まった「水災5区分」
もうひとつ、知っておくべき変更があります。水災補償の保険料が、地域の水災リスクに応じて5段階に分かれたことです。
それまで水災の料率は全国一律でしたが、現在は建物のある市区町村ごとに、保険料がいちばん安い「1等地」からいちばん高い「5等地」まで5段階に分かれています。損害保険料率算出機構の資料では、最も高い地域と最も低い地域の較差は保険料全体で約1.2倍とされています。
「1.2倍か、大したことないな」と思うかもしれません。ですが効き方は地域によって大きく違います。前述のとおり、東京都の木造・築10年以上という同じ条件でも、水災の等地しだいで改定率は▲1.3%(下がる)から+19.0%(2割近く上がる)まで開きました。同じ都内・同じ造りの家でも、値下がりする人と大きく値上がりする人がいるということです。
自分の市区町村がどの等地かは、損害保険料率算出機構の「水災等地検索システム」で誰でも調べられます。見積もりを取る前に一度見ておくと、提示された保険料の意味がわかります。
- 自分の市区町村の水災等地を、機構の検索システムで確認する(1〜5等地のどこか)
- 自治体のハザードマップで、自分の土地の水災リスクを確認する。等地は市区町村単位なので、同じ市内でも川沿いと高台では実際のリスクが違う
- リスクが低い地域なら、水災補償の保険料は以前より抑えられる可能性がある
- 逆にリスクが高い地域では上がる。ただしそこで水災補償を外す判断は慎重に——上がったということは、それだけ起きやすいという意味です
これは土地選びの段階でも効いてきます。ハザードマップの確認は、資産価値が落ちにくい家の条件とも重なる話です。
「保険を使えば無料で修理できます」に注意
ここは強めに書きます。
「点検に伺いました。屋根が傷んでいます。火災保険を使えば自己負担ゼロで直せますよ」——こうした勧誘が全国で問題になっています。国民生活センターは、この手の「申請サポート」について繰り返し注意喚起を出してきました。2018年には「高齢者からの相談が増加しています」、2021年には「相談が急増しています」という見出しで、いずれも「保険金の請求は、加入者ご自身で」と明記しています。
- 「経年劣化」を「災害による被害」に見せかけて申請させる。これは保険金詐欺にあたるおそれがあり、加担すれば契約者自身の責任になる
- 「請求期限の3年が迫っている」と急がせる。保険金の請求権が3年で時効になるのは保険法どおりだが、それを口実に契約を急がされている
- 高額な手数料。国民生活センターに寄せられた事例では、下りた保険金の40%を業者へ支払う契約になっており、解約を申し出たら「できない」と言われている
- 「自己負担ゼロ」と言われても、保険金が見積もり額に届く保証はない。不足分は自腹になる
- ①写真を撮る——被害箇所を複数の角度で。日付が残る形で
- ②保険会社・代理店に連絡する。訪問業者ではなく、自分の契約先へ
- ③修理業者の見積もりを取る。可能なら複数社
- ④保険会社の案内に沿って請求。鑑定人の調査が入ることもある
なお屋根の点検については、屋根のメンテナンス費用の記事でも書いたとおり、訪問営業に屋根へ上らせないのが鉄則です。上がられた時点で、そこで何をされたか確認する手段がありません。点検はこちらから依頼した業者に頼んでください。
かけ方で押さえておきたい4つのこと
① 建物の評価額を過大にしない
保険金額は「その家を建て直すのにいくらかかるか(再調達価額)」が基準です。実際より高く設定しても、受け取れる額が増えるわけではありません。保険料だけが上がります。逆に低すぎると足りません。適正額かどうかを確認してください。
② 家財をどうするか決める
建物と家財は別の契約です。家電・家具・衣類をまるごと買い直す場面を想像して判断します。4人家族なら数百万円規模になることも珍しくありません。家族4人の生活費を見てもらうとわかりますが、まとめて買い直す出費は家計にかなり重く効きます。
③ 免責金額と保険期間
免責金額(自己負担額)を上げると保険料は下がります。小さな損害は自分で払う、大きな損害に備えるという考え方は、資産形成の5ステップで書いた保険に対する基本姿勢とも一致します。保険期間は最長5年の一括払いが割安になりやすいです。
④ 地震保険は火災保険とセットでしか入れない
地震・噴火・津波による損害は、火災保険では補償されません。地震が原因で家が焼けた場合も同じです。備えるには地震保険が必要ですが、これは単独では加入できず、火災保険にセットで付ける形になります。保険金額は火災保険の30〜50%の範囲で、さらに建物5,000万円・家財1,000万円という上限もあります。建て直し費用の全額が出る保険ではない点は理解しておいてください。
まとめ
- 火災保険の主役は火事ではなく風災。台風被害は自腹で払う前に証券を確認する
- 参考純率は4回の改定で約1.39倍(最新は2023年6月届出)。保険期間も最長5年に短縮された
- 木造でも省令準耐火ならT構造で保険料が下がる。これは設計段階でしか決められない
- 2024年10月から水災は市区町村ごとの5区分。等地検索システムとハザードマップで自分の土地を確認する
- 「保険で無料修理」の勧誘には乗らない。請求は自分で保険会社へ。経年劣化は対象外、請求権の時効は3年
- 地震保険は火災保険とセットのみ。全額は出ない前提で考える
火災保険は、住宅ローンの契約に追われている時期に、いちばん雑に決めてしまいがちな費目です。でも5年ごとに更新が来て、家を持っている限りずっと払い続ける固定費でもあります。変動金利の記事で書いた返済額の話と同じで、毎月・毎年の固定費は、一度見直すと効果が長く続きます。
そして建築士としてもう一度言っておきたいのは、保険料を左右する仕様は、保険の話が出てくるずっと前に決まっているということ。これから建てる方は、打ち合わせの段階でぜひ構造級別の話を出してみてください。
- 損害保険料率算出機構「火災保険参考純率」各改定のご案内(2018年5月/2019年10月/2021年5月/2023年6月の各届出)
- 損害保険料率算出機構「水災等地検索システム」
- 国民生活センター(2018年9月6日公表/2021年9月2日公表)
※本記事は2026年8月時点の情報に基づく一般的な解説であり、特定の保険商品の加入を推奨するものではありません。保険料率・補償内容・制度は改定される場合があり、記載の金額はあくまで目安です。実際のご契約内容やご判断は、保険会社・代理店や専門家にご確認のうえ、ご自身の責任でお願いします。
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それではまた!machiでした🎵



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