こんちゃー!まちもちチャンネルのmachiです🎵
これまで外壁や屋根など「家のお金」の話を中心に書いてきましたが、設計相談の現場でいちばん多い相談は、実はお金ではなく「この間取り、どう思いますか?」です。
今回は間取りの後悔ポイントを、一級建築士として本音で6つに整理します。
間取りの後悔は、図面に描いてあるもので起きるのではなく、図面に描かれていないもので起きる。図面が伝えてくれるのは「広さ」と「位置」だけ。後悔の原因になる音・におい・視線・毎日の動線・10年後の家族は、図面のどこにも描かれていません。
後悔①:カーテンを開けられない窓
明るい家にしたくて大きな窓をたくさん付けたのに、隣の家の窓と正面から向き合ってしまい、結局カーテンを開けられない。いちばん多い後悔です。
カーテンを閉めっぱなしの窓は、機能的には壁と同じ。しかも壁より高くて、断熱性能は劣ります。
- 建物は原則境界線から50cm以上離して建てます(民法234条)。お互いが50cmずつ離すと、隣家との距離は1m程度。窓の高さも同じくらいなので、正対すれば真正面で目が合います
- さらに境界線から1m未満で他人の宅地を見通せる窓やベランダには、目隠しを付ける義務があります(民法235条)。隣が後から建った場合、目隠しを求められることもあり得ます
後悔②:吹き抜け・リビング階段の「音・におい・暖気」
吹き抜けとリビング階段は、図面の上ではとても魅力的です。実際いい設計です。ただし開放感がある=つながっているということ。つながっているものは、光や視線だけではありません。
- 音:テレビの音や生活音が2階の寝室まで届く。夜勤・在宅ワーク・受験期にこたえます
- におい:焼き魚や焼肉のにおいが2階のクローゼットまで上がります
- 暖気:暖かい空気は上に行くので、冬は1階が暖まりにくい
対策は「やめる」ではなく「わかった上で設計する」です。2階の廊下との間に扉を1枚入れるだけで音とにおいは大きく減りますし、断熱・気密性能を上げれば冷暖房のデメリットは相当小さくなります。逆に低性能な家+吹き抜けが、いちばんつらい組み合わせです。
後悔③:いちばん重い状態で、毎日2階へ上がる
間取りの中で、いちばん頻度が高く重い家事が洗濯です。この動線は4つの工程に分かれます。
| 工程 | 場所になりがちな所 |
|---|---|
| ①洗う | 1階の洗面脱衣室 |
| ②干す | 2階のベランダ・室内干し |
| ③たたむ | 干した場所の近く(2階) |
| ④しまう | 2階の各個室。ただしタオルや下着は1階の洗面へ |
つまり「洗う」だけが1階で、残りは2階。この分かれ方が、毎日きいてきます。
- 洗う→干す→たたむ→しまうを1フロアで完結させる。室内干しスペースとファミリークローゼットを洗面脱衣室の隣に置く形が定番です
- それが無理なら、せめてタオルと下着は洗面のすぐそばにしまえるようにする。この2つは1階で使うものなので、置き場所を分けるだけで往復が1回減ります
- 室内干しにするなら換気・除湿の計画をセットで。ここが弱いと湿気とにおいの後悔に変わります
- ベランダを本当に使うか家族で確認を。使わないベランダは作らない方が、初期費用も将来の防水メンテ費も安くなります
後悔④:収納は「量」ではなく「位置」で失敗する
「収納をたくさん作ったのに片づかない」。原因は量ではなく位置です。収納は「使う場所のすぐ近く」にないと使われません。屋根裏や階段下をいくら作っても、そこまで運ぶのが面倒なら、物はリビングに置かれ続けます。
- 玄関:ベビーカー・自転車・アウトドア用品・部活の道具
- リビング:薬・書類・爪切り・充電器など「小さくて散らかるもの」の定位置
- キッチン:食品ストックと大型調理家電
- 洗面:タオル・下着・洗剤ストック
そしてもうひとつ。収納量を「いまの荷物」で決めると、必ず足りなくなります。子どもが成長すれば荷物は増えます。10年後を見て決めてください。
後悔⑤:生活動線と来客動線が交差している
お客さんが来たときに、洗濯物や洗面所やトイレの前を通らないと通れない間取り。図面段階では気づきにくく、住んでから毎回気になるタイプの後悔です。
- 玄関からリビングに行くまでに洗面脱衣室のドアの前を通る
- トイレのドアがリビングやダイニングに直接面している(音とにおいの問題も同時に起きます)
- 室内干しスペースが来客の目に入る場所にある
トイレのドア問題は、ドアの向きを90度変えるか手洗いコーナーをワンクッション挟むだけで解決することが多いです。図面段階なら、ほぼ無料の変更です。
後悔⑥:10年後・30年後の家族が描かれていない
間取り図はどうしても「引き渡した日の家族」で描かれます。でも家には30年、40年住みます。
- 子ども部屋:小学生と高校生では必要な部屋が違い、20年後には空き部屋になります。仕切りを後から入れる/外せる作り方に
- 階段:法律上は蹴上げ23cm以下・踏面15cm以上が最低ライン。ただしこれは「登れる」基準で、快適なのは蹴上げ18〜19cm・踏面22cm前後。急な階段は70代になってから効いてきます
- 廊下やドアの幅:柱の芯々910mmの廊下は有効幅780mm前後。介護や車椅子を考えると余裕がありません
- 1階だけで生活が完結するか:老後や病気のとき、1階に寝室にできる部屋・トイレ・お風呂が揃っているか
最後に正直なことを書きます
間取りに100点はありません。敷地の形、方位、予算、法規——制約の中で組み立てるので、どこかを取ればどこかを譲ることになります。
だから大事なのは、100点を探すことではなく「わが家が絶対に譲らない3つ」を家族で決めておくこと。それが決まっていれば、迷ったときに設計者と同じ基準で判断できます。逆にここが曖昧だと、打ち合わせのたびに方針がぶれて、どこも中途半端な間取りになります。
そして、いちばん多い罠:こだわりの入れすぎ
ここも正直に書いておきます。こだわりが多すぎて、結果として住みにくい家になってしまう——これが、一般の方がいちばん陥りやすい罠です。
SNSや雑誌で見た「良さそうな要素」を全部入れたくなる気持ちは、本当によくわかります。でも要望をひとつ足すたびに、必ずどこかにしわ寄せが出ます。
- 部屋や機能が増えた分、ひとつひとつが少しずつ狭くなる
- それらをつなぐ廊下が増え、居室として使えない面積が増える
- 個々の要望は叶っているのに、全体として動線がまとまらない
- 当然、コストも上がる
そして残りは、プロに任せてしまっていいと思っています。設計者は敷地の形も法規も予算も全部見たうえで、全体がまとまる形を探しています。優先順位さえ共有できていれば、細かいところは委ねたほうがいい答えが返ってくることが多いんです。
「全部自分で決める」ことが、いい家づくりではありません。決めるべきことを決めて、あとは任せる。それができる施主さんの家は、だいたいうまくいきます。
間取り図を見るときは、広さではなく「つながり方」を見る。何と何がつながっていて、その間を人と音とにおいがどう通るか。そこが読めるようになると、間取り図はまったく違うものに見えてきます。
まとめ
- 間取りの後悔は、図面に描かれていないもの(音・におい・視線・動線・10年後の家族)で起きる
- ①カーテンを開けられない窓は実質「壁」。窓は数より高さと向き
- ②吹き抜け・リビング階段は音・におい・暖気も通す。扉1枚と断熱性能で対策する
- ③洗濯は洗う→干す→たたむ→しまうを同じ階に集める。つらいのは往復の回数よりいちばん重い状態で階段を上がること
- ④収納は量より位置。量は「10年後の荷物」で決める
- ⑤来客動線が洗面・トイレ・室内干しの前を通らないか確認する
- ⑥階段の勾配・廊下幅・1階完結性は、図面段階ならタダ、後からは大工事
- 間取りに100点はない。だから「絶対に譲らない3つ」を家族で先に決める
- いちばん多い罠はこだわりの入れすぎ。要望を足すほど各室は狭く、廊下は増え、動線はまとまらなくなる
- 優先順位を決めて、残りはプロに任せる。全部自分で決めることが、いい家づくりではない
※本記事は一級建築士であるmachiの実務経験に基づく一般的な考え方をまとめたものです。最適な間取りは敷地条件・法規・予算・ご家族の暮らし方によって異なります。法令や制度は変更される場合がありますので、実際の設計にあたっては最新情報と担当設計者の判断をご確認ください。
🏠 間取り・住宅プランのご相談はmachi(一級建築士)へ
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それではまた!machiでした🎵



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