PR

【大手 vs ローコスト】30年のメンテナンス費用はどっちが安い?一級建築士が本音で比較

家づくり・住まいのお金

こんちゃー!一級建築士のmachiです🎵

住宅展示場でよく聞く言葉があります。

「初期費用は高いですが、メンテナンス費用が安く済むので、トータルではうちのほうが安いですよ」

これ、半分は本当で、半分は違うと思っています。一級建築士として設計に携わってきた立場から、数字を並べて整理してみます。

この記事でわかること
  • ローコスト住宅と大手ハウスメーカーで、メンテナンスの周期がどう違うのか
  • 30年間の費用がいつ出ていくのか(ここがいちばん違います)
  • ネットで見る「各社のメンテ費用比較」があてにならない理由
  • 長期保証を維持するために必要な有償メンテナンスという条件

結論:総額より「タイミング」と「業者を選べるか」が違う

先に結論を書きます。

📌 この記事の結論
  • 30年の総額は、思ったほど差がつきません。どちらも数百万円台に収まります
  • 決定的に違うのは出ていくタイミング。ローコストは10年目から定期的に、大手は前半が静かで後半に集中します
  • もうひとつが業者を選べるかどうか。初期保証が切れたあとも保証を続けるならメーカーの有償メンテが条件になるので、相見積もりが効きません
  • つまり「大手=メンテが安い」ではなく、「大手=支払いが後ろにずれて、価格交渉がしにくい」が実態に近いと思っています

違いは、建てるときの仕様から始まっています

メンテナンス費用は、住み始めてから決まるものではありません。どの材料を使ったかで、ほぼ決まっています。

部位ローコスト・一般的な仕様大手の高耐久仕様
外壁窯業系サイディング
(10〜15年で塗装)
タイル・ALC・高耐候サイディング
(20〜30年)
屋根スレート
(10〜15年で塗装)
瓦・ガルバリウム鋼板
(20〜30年)
シーリング一般的なシーリング
(10年前後)
高耐久シーリング
(15〜20年)

窯業系サイディングは材料そのものに防水性がありません。表面の塗膜で守っている構造なので、塗膜が切れたら塗り直す必要があります。ここが10〜15年周期の理由です。

一方でタイルは、材料自体が水を吸いません。ただし目地のシーリングは劣化するので、「タイルだからメンテナンス不要」ではありません。ここは営業の場では省略されやすいところです。

machi
「メンテナンスフリー」という言葉が使われることがありますが、厳密にフリーな外壁材はありません。正しくは「メンテナンスの回数が少ない」です。回数が減るぶん、1回あたりは高くなります。

お金が出ていくタイミングが、まったく違います

ローコスト・一般的な仕様の場合

時期主な工事金額
10〜15年目外壁塗装+屋根塗装+シーリング+足場90〜180万円
20〜25年目外壁塗装2回目+屋根(塗装かカバー工法)100〜270万円
25〜30年目外壁の張り替えや屋根の葺き替えが必要になることも80〜250万円

特徴は10年目から定期的に出続けることです。1回あたりは100万円台に収まりますが、回数が多くなります。

大手ハウスメーカーの高耐久仕様の場合

タイルやALC、高耐久シーリングを使った仕様だと、周期が20〜30年に伸びます。そのぶん10年目・20年目にやることが減り、こういう形になります。

時期主な工事金額の傾向
10年目定期点検+シロアリ防除(足場が要る場合は足場代)数十万円
20年目定期点検+シロアリ防除+給排水管の洗浄など数十万円
25〜30年目外壁塗装・シーリング打ち替え・防水を一括で200〜300万円台

前半が非常に軽い代わりに、25〜30年目にまとまった金額が一度に来ます。この形が、ローコストとの最大の違いです。

mochi
前半が安いのはうれしいけど、25〜30年目に200万円以上が一度に来るのは、けっこう怖いかも……。
machi
しかもその時期はちょうどローンが終わる頃で、定年も近い。収入が下がるタイミングと重なるんだよね。前半が静かなぶん、積み立てを忘れやすいのがいちばんの落とし穴だと思っています。
machi
ちなみに、ネットでよく見る「A社は30年で○○万円」という各社比較表は、メーカーが公式に出している数字ではありません。ほとんどが第三者の試算で、同じメーカーでも情報源によって3倍以上ばらつきます。建物本体だけの数字と、設備の交換まで含めた数字が混ざっているからです。横並びの表は、参考程度にとどめたほうがいいと思っています。

いちばん見落とされる「保証を維持する条件」

大手の強みとして「初期30年保証」「最長60年保証」が挙げられます。ここは正確に読み分けておきたいところです。

📌 長期保証は2段構えになっています
  • 初期保証の期間内:定期点検を受け、会社が必要と判断した補修を行うことが条件。この補修工事は無償としている会社が多いです
  • その先の延長:ここからは有償の点検とメンテナンス工事を受けることが条件になるのが一般的です

つまり初期保証が切れる時期が、保証のうえでも費用のうえでも大きな節目になっています。ここで有償メンテを受ければ保証が続き、受けなければそこで終わる。先ほどの200〜300万円台は、この節目の金額です。

もちろん「払わない」という選択もできます。ただしその場合、以降の不具合は全額自己負担になります。実質的には、払う前提で計画しておくお金だと考えたほうがいいと思っています。

条件も金額も会社によって違うので、ここは検討している会社に直接確認するしかありません。次のリストが、そのままチェック項目になります。

machi
ここが本音の部分です。保証年数そのものより、保証を続けるための条件と、そのときの有償メンテがいくらか。僕が契約前に必ず確認するのはこちらです。「最長60年保証」はいまや各社が使っている言葉なので、年数だけでは差がわかりません。
📌 契約前に聞いておきたいこと
  • 保証を延長するために必要な工事の内容と時期
  • そのときの概算金額(書面でもらえるかどうか)
  • 他社で施工した場合、保証がどう扱われるか(会社によって違います)
  • 設備(給湯器・水回り)は保証や有償メンテに含まれるのか

どちらを選ぶかは、この3つで決まります

① その家に何年住むか

30年前後で住み替える、あるいは子どもの独立後に移ることを考えているなら、後半にコストが集中する仕様のメリットは薄れます。逆に一生住むつもりなら、回数が少ない仕様のほうが手間もお金も読みやすくなります。

② 相見積もりを取る気があるか

ローコスト側は、塗装のたびに地元の業者から相見積もりを取れます。ここで2〜3割変わることは普通にあります。一方でメーカー指定の工事には、その余地がほとんどありません。

自分で業者を探して比べるのが苦にならないなら、ローコスト側は工夫の余地が大きい。逆に「そういうやり取りが面倒」なら、多少高くても全部お任せできるほうが結果的にラクだと思います。

③ 初期費用に回せるお金があるか

高耐久仕様は、当然ながら建てるときの金額が上がります。初期費用を抑えて、浮いた分を積み立てに回すという考え方も成立します。どちらが正解ということはなく、家計の形に合うほうを選ぶ話だと思っています。

🧮 「初期費用の差」と「30年の維持費の差」を足すといくら?

ローコストで浮いた初期費用が、30年の維持費で消えるのかどうか。ここは坪単価と延べ床面積が決まらないと答えが出ません。
一級建築士が作った「住宅建築 総資金計画表ツール」で、ハウスメーカーの坪単価とローコストの坪単価をそれぞれ入れて総額を出してください。その差額と、この記事の維持費の差額を並べれば、30年後にどちらが安いかが見えます。登録不要・無料です。

総資金計画表ツールで差額を出す →

まとめ

📌 この記事のポイント
  • 30年の総額は思ったほど差がつかない。違うのは出ていくタイミング
  • ローコストは10年目から定期的に、大手は前半が静かで後半に集中する
  • 大手は25〜30年目に200〜300万円台がまとめて来る。しかもローン完済・定年と重なる
  • 見るべきは保証年数ではなく、保証を続ける条件とそのときの金額
machi
どちらが得かは、その家に何年住むかで変わります。展示場で「トータルでは安い」と言われたら、「何年で計算していますか」「設備は含まれていますか」と聞いてみてください。ここで具体的な数字が出てくる会社は、信頼できると思います。

※金額は2026年8月時点の一般的な相場をもとにした目安で、特定の会社の数字ではありません。建物の大きさ・仕様・地域・時期によって変動しますので、実際の判断は必ず契約前に書面で確認してください。

machiの間取り相談実施中!マイホーム計画中の方など、興味のある方は是非、ご利用ください!

一級建築士が間取り作成・セカンドオピニオン承ります お客様に合ったプラン、改善案をご提案します。

📚 このテーマの全体像はこちら

家づくりのお金は「建てる費用」と「持ち続ける費用」の2階建てです。買うかどうかの判断から、建築費の全項目、依頼先の選び方、30年後のメンテナンス費用まで、関連記事14本を順番に整理した総合ガイドを用意しています。

👉 家づくりのお金 完全ガイドを読む