こんちゃー!まちもちチャンネルのmachiです🎵
資産形成の記事を読むと、だいたい同じことが書いてあります。「iDeCoは節税で最強」「ふるさと納税はやらなきゃ損」。
わが家は、どちらもやっていません。賃貸に住み続けて、積立の軸は全世界株式(オルカン)で、そこに個別株を少し足している形です。それで世帯の資産は7,700万円になりました。
この記事は「iDeCoはダメだ」という話ではありません。節税効果は本物です。そのうえで、なぜわが家はやらないのかを、数字で説明します。最後に「iDeCoをやったほうがいい人」の条件も書きました。
- iDeCoの節税は本物。ただし世帯年収800万円クラスだと年5万円台
- その対価は「60歳まで1円も引き出せない」こと
- 「制度は変わる」は仮定ではない。直近2年で4回変わった
- iDeCoは節税ではなく課税の繰延べ。出口で精算される
- それでもiDeCoが有利な人は確実にいる(記事の後半で条件を書きます)
まず認めます。iDeCoの節税は本物です
どれくらい効くのか、先に数字で出しておきます。
iDeCoの節税額は、次の式で決まります。
掛金 ×(所得税率 + 住民税率10%)
住民税は一律10%なので、所得税の税率だけで決まります。収入が高い人ほど有利になる仕組みです。
所得税は課税所得によって段階的に上がります。iDeCoの実質的な控除率にすると、こうなります。
| 課税所得 | 所得税率 | iDeCoの控除率 |
|---|---|---|
| 〜195万円 | 5% | 15% |
| 195万〜330万円 | 10% | 20% |
| 330万〜695万円 | 20% | 30% |
| 695万〜900万円 | 23% | 33% |
| 900万〜1,800万円 | 33% | 43% |
| 1,800万円〜 | 40%〜 | 50%〜 |
ここで大事なのは、掛金の上限は収入では変わらないということです。会社員の上限は「企業年金があるかどうか」で決まります。企業年金がない会社員なら月2.3万円(年27.6万円)です。
つまり、節税額の絶対額は税率だけで決まります。年27.6万円を拠出した場合を並べてみます。
| 控除率 | 年間の節税額 |
|---|---|
| 15% | 4.1万円 |
| 20% | 5.5万円 |
| 30% | 8.3万円 |
| 43% | 11.9万円 |
共働き世帯800万円で計算してみる
夫600万円・妻200万円の共働き世帯(世帯年収800万円)で考えます。昨今はこの形が多いはずです。
夫600万円の課税所得を、順番に出してみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年収 | 600万円 |
| 給与所得控除 | ▲164万円 |
| 社会保険料 | ▲約92万円 |
| 基礎控除 | ▲68万円 |
| 課税所得 | 約276万円 |
引かれる額が合計324万円あるので、課税所得は年収の半分以下になります。実感より低く出るところです。40代は介護保険料も乗るぶん、社会保険料が効いてきます。
276万円は控除率20%の区分。控除率が30%に上がるのは課税所得330万円からで、年収に直すとおよそ670万円です。そこを超えると、同じ掛金でも節税額が5.5万円から8.3万円に増えます。
年27.6万円を拠出して、節税額は年5.5万円ほど。
妻200万円のほうは、もっとはっきりしています。給与所得控除68万円・社会保険料約31万円・基礎控除95万円を引くと、課税所得は約6万円。所得税はほとんどかかっていません。
この状態でiDeCoに年27.6万円を拠出しても、所得税の控除枠はすぐに尽きます。節税はほとんど効かないのに、資金だけ60歳まで拘束されることになりかねません。
共働きで収入差があるとき、ここは見落とされがちです。
やらない理由①:15年後のルールは、誰も知らない
iDeCoは40代で始めれば、15年から20年は引き出せません。その間、ルールが変わらない保証はどこにもありません。
「そんなの言いがかりでは?」と思われるかもしれません。ところが、これは仮定の話ではありません。
- 2024年12月:公務員や、勤務先に企業年金(確定給付型)がある会社員の拠出限度額が月1.2万円→2万円へ
- 2026年1月:退職所得控除の「5年ルール」が「10年ルール」に(受け取り方によっては増税)
- 2026年12月分の掛金から:拠出限度額が月6.2万円へ一本化、加入可能年齢が70歳未満まで拡大
- 2026年12月分の掛金から:手数料が1回105円→月額120円へ
注目してほしいのは2番目です。
iDeCoを一時金で受け取ってから会社の退職金を受け取る場合、間隔が短いと退職所得控除が調整されます。この期間が2026年1月から5年→10年に延ばされました。つまり受け取り方によっては、実質的に不利な方向へ変わったということです。
制度が有利にも不利にも動く、という実例です。しかもお金を入れ終わったあと、出口のルールが変わった。
やらない理由②:iDeCoは「節税」ではなく「課税の繰延べ」
ここは正確に理解しておく価値があります。
掛金を出したときに所得控除が受けられるのは事実です。ただし受け取るときには課税されます。一時金なら退職所得、年金形式なら雑所得です。
それぞれ退職所得控除・公的年金等控除という大きな控除枠がありますが、この枠は会社の退職金と奪い合いになります。
退職金が多い会社に長く勤めるほど、退職所得控除の枠は退職金で埋まります。そこにiDeCoの一時金が乗ると、控除しきれない分に課税されます。
拠出時に浮かせた税金が、受取時に一部戻ってくる構造です。「節税額」をそのまま利益として数えると、実態より大きく見積もることになります。
そして先ほどの10年ルールが、この調整をより厳しくしました。
NISAは違います。受け取るときに課税されません。出口で計算し直す必要がない。この差は、20年先を考えるときに効いてきます。
やらない理由③:運用しなくても、手数料がかかり続ける
ここは意外と語られません。iDeCoは口座を持っているだけで手数料がかかります。信託報酬とは別に、です。
しかも2026年12月分の掛金から値上げされます(実際の引き落としは2027年1月)。
| 手数料 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 国民年金基金連合会 | 拠出1回につき105円 | 月額120円 |
| 事務委託先金融機関 | 月66円程度(資産を管理する信託銀行に払うもの。金融機関により異なる) | |
| 加入時(初回のみ) | 2,829円(変更なし) | |
毎月拠出する人なら、月186円・年2,232円。20年で44,640円、加入時手数料を足すと約4.7万円です。運用がプラスでもマイナスでも、必ず出ていきます。
この改定にはもうひとつ重要な点があります。これまでは「年1回まとめて拠出」にすれば手数料が年105円で済んでいました。改定後は拠出回数に関係なく対象月数分(120円×月数)がかかります。
つまり年単位拠出による節約が、実質的に封じられました。
比率で見ると、どれくらいか
年27.6万円を拠出する人の場合、年2,232円は拠出額の0.81%にあたります。
比較すると分かりやすいと思います。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は年0.05775%(2026年8月時点)。iDeCoの口座維持費は、その14倍近い水準です。
しかも定額なので、拠出額が少ない人ほど比率で重くなります。月1万円だけ拠出する人なら、年12万円に対して2,232円で1.86%です。
もうひとつ。積立をやめても、口座は消えません。iDeCoは原則として途中解約ができないので、掛金を止めた状態のまま60歳まで持ち続けることになります(この状態を、制度上は「運用指図者」といいます)。
そしてこの間も、口座を維持するための手数料はかかり続けます。積立を止めても、そこからは逃げられません。
ふるさと納税をやらない理由
ふるさと納税についても書いておきます。こちらは制度そのものは合理的です。実質2,000円の負担で返礼品が受け取れるのは事実です。
それでもわが家がやらない理由は3つです。
理由①:税金の「前払い」であって、増える話ではない
ふるさと納税は、翌年払うはずだった住民税を先に納めているだけです。手元の現金は先に出ていきます。返礼品という形で戻ってくるとはいえ、現金が現金として戻るわけではありません。
理由②:「2,000円で得」という設計が、消費を誘発する
わが家がいちばん引っかかっているのは、ここです。
上限額まで使い切ろうとすると、本来買わないものを選び始めます。高級和牛、カニ、家電。「実質2,000円だから」という理由で選んだものは、定価で買うつもりがなかったものです。
米や日用品のように「どうせ買うもの」を選べば家計改善になります。ただ、返礼品ランキングの上位はそうなっていません。制度の設計が、消費を増やす方向に働いています。
理由③:管理コストがかかる
上限額の計算、寄付先の選定、ワンストップ特例の申請書の管理、または確定申告。年に一度、必ず手間が発生します。
わが家が8年続けられた理由は、やることを増やさなかったことだと思っています。判断が増えるほど、続かなくなります。
拘束されないお金には、金額に出ない価値がある
ここまで「やらない理由」を並べてきましたが、本当の理由はもっと単純です。
いつでも動かせるお金は、それ自体が「選べる権利」を持っている。
15年後に何が起きるかは分かりません。転職、独立、親の介護、子どもの進学、病気、住まいの変更。そのときに動かせる資産があるかどうかで、選べる選択肢の数が変わります。
iDeCoに入れた分は、その選択肢に入りません。年5.5万円の節税は、その権利を手放す対価です。
わが家は賃貸に住み続けています。これも同じ考え方です。家を買えば、頭金と諸費用でまとまった現金が固定資産に変わります。売るには時間がかかります。賃貸を続けているのは、身軽さに価値を置いているからです。
そして下落局面で買い増しができるのは、拘束されていない現金があるときだけです。iDeCoの中身は入れ替えられても、外から追加投入することはできません。相場が下がったときこそ、動かせるお金が効きます。
ただし、iDeCoをやったほうがいい人は確実にいます
ここまでは、あくまでわが家の条件での判断です。次に当てはまる人は、iDeCoを前向きに検討する価値があります。
- 課税所得330万円を超えている人(控除率が30%以上。同じ掛金で節税額が1.5倍になります)
- 自営業・フリーランス(拠出限度額が大きく、退職金もないため出口の枠を使い切りやすい)
- 退職金が少ない、または無い会社に勤めている人(退職所得控除の枠が空いている)
- 60歳まで確実に使わない余剰資金がある人(拘束がデメリットにならない)
- 手元にあると使ってしまう自覚がある人(引き出せないことが、逆に強みになります)
最後の項目は、意外と本質だと思っています。「引き出せない」は、人によっては最大のメリットです。
わが家は8年間、相場が下がっても積立を止めませんでした。その自信があるから、拘束されない形を選んでいます。この判断は、その人の性格と収入によって変わります。
わが家がやっていること:土台はオルカン、個別株は別枠
やらないことを並べてきたので、やっていることも書いておきます。
資産の土台は、新NISAで全世界株式のインデックスファンドを積み立てること。ここは自動にしてあって、ほとんど何も判断していません。銘柄を選ばず、タイミングも測らず、相場のニュースで配分も変えません。
そのうえで、余剰の範囲で個別株(高配当株)も持っています。こちらは自分でルールを決めて選んでいます。ただし土台を崩さない範囲に限る、というのが前提です。
大事なのは順番だと思っています。続ける必要がある部分ほど、判断を減らしてある。積立は放っておいても続く形にして、判断が要ることは、その外側に置いています。
iDeCoを併用すれば、口座が増え、商品ラインナップの制約が生まれ、出口の設計が必要になります。ふるさと納税を始めれば、年に一度の作業が増えます。ひとつひとつは小さくても、続ける難易度は確実に上がります。
資産形成でいちばん効くのは、やめないことです。わが家は、土台をそこに寄せました。
まとめ
- iDeCoの節税は本物。ただし世帯年収800万円クラスでは年5.5万円ほど
- その対価は60歳まで引き出せないこと。15年以上の拘束になる
- 「制度は変わる」は仮定ではない。直近2年で4回変わった。うち退職所得控除の改定は不利な方向
- iDeCoは節税ではなく課税の繰延べ。出口で退職金と控除枠を奪い合う
- 手数料は2026年12月分から月120円へ値上げ。年単位拠出による節約も封じられた
- ふるさと納税は税金の前払いであり、消費を誘発する設計になっている
- ただし課税所得330万円超・自営業・退職金が少ない人には有利
大事なのは、「みんながやっているから」で決めないことだと思います。iDeCoもふるさと納税も、向き不向きがはっきり分かれる制度です。
わが家の答えは「やらない」でした。ご自身の年収と、15年後にそのお金を使う可能性を並べて、判断していただければと思います。
※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な解説であり、特定の金融商品や制度の利用を推奨するものではありません。税額の試算は前提条件を単純化したモデルケースであり、実際の控除額は扶養状況・社会保険料・各種控除によって変わります。制度内容および手数料は改定される場合があります。最終的な判断はご自身の状況にあわせて、必要に応じて税理士等の専門家にご確認ください。
- 国民年金基金連合会「iDeCoのライブラリ」(加入者に係る手数料の見直しについて。拠出時手数料 1回105円→月額120円、2026年12月分の掛金から適用)
- 国民年金基金連合会「iDeCo加入手続きについて」(加入時手数料2,829円、拠出限度額)
- 厚生労働省「2025年の制度改正」(拠出限度額の引き上げ、加入可能年齢の拡大)
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」(所得税の速算表)
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」(基礎控除・給与所得控除)
- 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき」(退職所得控除)
退職所得控除の「5年ルール」が「10年ルール」に改められた点は、令和7年度税制改正によるもので、2026年1月1日以後に支払われる退職手当等に適用されます。基礎控除は令和7・8年分の区分(合計所得132万円以下95万円/132万円超336万円以下88万円/336万円超489万円以下68万円/489万円超655万円以下63万円/655万円超58万円)にもとづいて計算しています。社会保険料は協会けんぽの料率で概算したもので、お住まいの都道府県や健康保険組合によって変わります。信託報酬の数値は2026年8月時点の目論見書にもとづきます。
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iDeCoと同じで「やらない」と決めた話。遺族年金と高額療養費の数字から判断しています
「iDeCoの年5.5万円」と「拘束されないこと」を比べるには、まず自分がいくら積み立てられるかを知るのが先だと思います。毎月の積立額と年数を入れるだけで、将来の金額が出ます。
40代の資産形成は「現在地の確認」から「積み立てる仕組みづくり」、そして「出口戦略」までがひとつながりです。制度をどう選ぶかもその一部でしかありません。関連記事を順番に整理した総合ガイドを用意しています。
それではまた!machiでした🎵



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